トップページデータノートストーリー紹介(コミック:原作版)トップページ・もくじ

第8話−神の愛娘

 翌朝。魚の身をほぐそうと箸を付ける小狼の手に激痛が走る。先日、領主の秘術により吹き飛ばされた時のダメージを残しているようだ。傍若無人の領主に対し、蜂起してはどうか−。そんな話題に、主導的役割を買って出た黒鋼。あと必要なのは、志を共にする兵。チュニャンは街へ出て、半年前共に立ち上がった者たちのアジトへと向かった。
 そこで彼らを迎えたのは、空汰と嵐。ハンシン共和国とは異なる「タマシイを同じくする別世界の存在」に、提案を持ちかけるチュニャン。だが、彼らから返ってきた答えは、チュニャンの期待を大きく裏切るものだった。
 領主のチカラの絶大さ−。半年前、領民が圧政に対して蜂起した際に、身をもって思い知らされた。城へ立ち入るばかりか、なすすべもなく仲間が「異世界」へ飛ばされた光景を見た彼らは、秘術には決して叶わぬ事を悟り得る。
 
 その時、ぼうっと城を眺めるサクラ。彼女は城から何かを感じていたらしい。後で外に出たサクラは、城に吸い寄せられるように取り込まれる。後を追う小狼。「二度と外には戻れない」領主の城へと足を踏み入れた彼らの運命は…。
 
 そこは、領主の秘術がすべてを司る世界だった。ツボの中の世界、とも言えるその場所は、すべての行動が領主の「手の内」にあった。炎、礫(つぶて)、そして異形なる者。さまざまな「手」が繰り出される。しかし、チュニャンがサクラを指して称する「神の愛娘」のチカラは、予想せぬ奇跡を生む。異形なる怪物と思える相手を前に、攻めも逃げもせず、思いを通わせる彼女。眼前にいる相手は、なんとかつて城へと討ち入った街の衆だったのだ。その様子を、どこかから見ていた「声」。声はサクラに語りかけると共に、彼女たちを秘術の世界から外へと運び出す。
 
 「サクラは神の愛娘」…。それ故、彼女なら城から生きて返ってこられる、そして奇跡を起こすことができると信じているチュニャンは、再び街の衆へ戦いの提案を持ちかける。その眼前へと現れた彼女たち二人。
 「奇跡は、起こる…。」
 「秘術さえ解ければ元へ戻せる」という小狼の言葉と相まって、戦いをあきらめた街の衆の心に、再び炎がともり出す。
 
 そのころ。予想外の展開に、領主は次なる一手を送り出す。キイシムという名の、妖しげなオンナを…。


 アニメ版のオリジナルストーリー。