トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.55−神の涙

紗羅の国を、芸をしながら旅をする鈴蘭一座。小狼とさくらが泊まらせてもらった遊花区は、彼女たちが年に一度帰り着く「我が家」だ。しかし、彼女たちの守り神・「阿修羅像」がこの地に帰り着くと、必ず陣社の夜叉像に怪異が起こるらしい。
 まさにそのころ。陣社に流れ着いたファイ・黒鋼は、夜叉像が傷ついた右目から血を流す姿を目の当たりにする。それは陣主・蒼石の曾祖父のころから起きていた怪現象だった。阿修羅神は戦いと災いを呼び、夜叉神は夜と黄泉を司る神。彼の推測では、阿修羅神が呼ぶ厄災は人々を黄泉の国へ送り、夜叉像の血の涙は阿修羅像が呼ぶ厄災の警告ではないかと考えていたらしい。しかし、それを聞いたファイは、その推測ではない「仮説」を脳裏で組み立てていた。
 一方、阿修羅像を目前とした小狼。考古学者の気質を持つ彼は、思わず名工の作とおぼしき仏像に興奮を隠しきれない様子。さくらも阿修羅像が厄災を呼ぶとは思えないと感じたようだ。そんな二人を見た鈴蘭は、改めて二人を「仲間」と認識する。が、遊花区は男子禁制。客以外に男が出入りすることは認められない。小狼は長いおさげ髪のウィッグをつけられ、宴の席へと導かれる。
と、その時。遊花区を強い揺れが襲う!
「この地震…、また陣社の奴らが阿修羅像のせいにして像を壊しに来るかもしれない…!」
警戒心むき出しの鈴蘭。一方の蒼石は、阿修羅像の怪異と見て血気にはやる氏子達を目前にしても、なぜかひとり憂いを含んだ表情を見せるのであった…。
#補遺。本作品がマガジンに掲載された数日前、伊豆沖で震度7クラスの地震が近畿・東海地方を襲いかかりました(汗)