トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.65−動き始める刻

 覚醒をはじめた、もう一人の『小狼』。
 そして、再び昇る、満月。
 『秘めるばかりでは、何も変わらん。』
 そういった阿修羅王の瞳の奥には、凛とした決意を秘めていた。
 そして、再び降り立つ月の城。
 そこに間髪入れず、小狼に太刀を浴びせる男の姿。
 『言っただろう、今度は止めを刺すつもりで来いって』
 間合いに入られ、黒鋼に防戦一方の小狼。そのとき、自らの意に反して身体が動く。
 
 一方の阿修羅王。いつもの穏和な影はすっかりと潜める。向かい来る敵騎を一太刀でなぎ払うと、鮮やかな舞いで敵陣のしんがり、夜叉王の元へと飛び込んだ。
 
 「私は…己の願いを叶える」
 そう言い放つと、その刀を夜叉王の胸に深々と突き刺した!
 致死傷になろう最期の剣。だが、それを受けた夜叉は、そのまま寄りかかる阿修羅の身体にそっと腕を回し、抱き受け止めたのだった…。