トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.108−砂上の国

 肌を刺す雨。壊れた構造物をも溶かせしめる液体を前に、小狼たちは雨宿りできる場を求めて走り出した。ようやく見つけた、超高層ビルディング。だが、建物内は矢に射抜かれた多数の死体が山のように累々と築かれていた。
 羽根を取り込んだせいで眠りの中にあるさくらを横目に、モコナは新たな羽根の波動を探る。一方の小狼は、建物が急速に風化し、街が砂漠化した理由を考える。そこに、不意に降り出した矢の雨。何本かを得意の蹴りでかわしたものの、ついにそのうちの1本が彼の左足を貫通する。
「ここに足を踏み入れたってことは、死にたいんだな」
顔を上げると、そこにはボーガンを持った7人の姿があった。
「どうする?」
と尋ねられた男は、そのフードを取り去る。
きりっとした瞳。彼の名は…神威(かむい)。