トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.129−都の夜

 侑子が示した「対価」。それは荒廃した都、東京を一人で旅し、指示された「物」を取ってくることだった。さくらは封真から借りたコンパスが指し示すまま、魑魅魍魎が闊歩する砂漠へと向かう。
 
 酸性雨の影響で、変異した生物がうごめく東京。特に夜は、その動きが活発化する刻だった。「無事で済むわけがない」という神威の予想通り、彼女の行く手を怪物が阻む。宙に浮いて移動するスクーターの脚でも、その動きをかわしきることができない。スクーターもろとも、廃墟に押しあてられたさくら。
 辛うじて身体の自由を確保し、銃弾を放って敵を斃す。が、スクーターはおろか、右脚も怪我をする。それでも彼女は、壊れたスクーターに取り付けたコンパスを懐に、自分の足で歩み出す。