トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.138−語り継ぐ血筋

 「…見張られてるね。」
 視線を感じたファイ、そして黒鋼。元より「姿が見えぬ者」の掌で踊らされていた彼らにとって、それは何も不思議なことではない。しかし、今のファイには従来と違う「覚悟」がある。「…もう、傷つけさせない…。」
 一方、さくらは眠りの中で、父・クロウの姿を見る。父は在りし日の彼女と、彼女が決してその姿を見ることができないもう一人の少年を前に、こう語る。
「出逢うべき人なのに、会えない。手を伸ばしても、触れられない。その『目』に映るのに届かない。己で選んだとしても、辛いことには変わりない。それでも…守りたいんだね。」
 その言葉を、もう一人の少年も覚えていた。決意は変わらない。たとえ「心」が戻らなくても…。
 
 翌日。4人は再びチェスのコロシアムの場に立っていた。その日の会場は、生い茂る茨の森。普段通り、クールな戦いでこなす3人だったが、敵の渾身の攻撃が『小狼』の身に降りかかる。茨にたたきつけられる、『小狼』。一転して、彼らは窮地に追い込まれる。