トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.191−七日間の約束

 「彼が、そうなんですね。」
 娘の運命を導く、少年の後ろ姿。それを、両親である国王と神官はあえてそのまま見送った。
 さくらに導かれるまま食卓へとやってきた小狼。潔斎中で肉類を口にできないさくらの分とは別に、パンや卵が用意された食卓を見て、彼女は「来客」を予見した母の予知能力の高さを口にする。
 未来を視る力、夢見。小狼の母もまた、その能力を有していた。彼は、母がさくらと同名で、容姿までも似ていることを口にする。しかし、それを聞いた彼女の顔はなぜか不意に曇る。
 そのとき。潔斎場に不意の来客があったことを聞かされたさくらの兄・桃矢が食堂に乱入してきた。一目で小狼とは相容れぬものを感じた彼は、すぐに小狼へ鋭い視線を投げる。そんな彼を諫めたのが、隣に立つ雪兎。後に神官となる彼もまた、未来を視る力を持っていた。そんな雪兎を、うらやむさくら。ただ、彼女は未来を識る代わりに、「声なきもの」の心、特に水の気持ちを察することができるという。それを聞いた小狼は、彼女の潜在能力の高さを感じ取る。
 小狼が次元の魔女から許された、玖楼国に滞在できる時間はあと7日。さくらの勧めで、彼は玖楼国の城に留まることになる。だが、二人の間を流れる穏やかな時間とは裏腹に、遺跡の清らかなる水はこれから二人に訪れる波紋を告げていた…。