トップページデータノート「XXXHOLiC」ストーリー紹介(コミック版)

第166話

  ヤングマガジン:2008年43号:2008.09.22.月.発売
 
自分が作ったものは食べないという依頼人に君尋が理由を聞くと,返ってきた答えは,
「気持ち悪いでしょう?」「自分で作ったものなんて」
 
店への帰り道,黒モコナが突然わめいた。
「酒が飲みたい」「すぐ飲みたい あそこで」
その指し示した場所とは……。
 
静の部屋,モコナと飲みはじめた静が一応は料理できると確かめ,君尋が話し出す。
「自分が作ったものを ‥‥気持ち悪いと思った事,あるか」
「ねぇよ」
「おれもない」
「料理教えてるって,あれか」
結婚すると聞いて,基本通りより彼女が好きな味を好きなひとに食べてもらえたらと思い,味見を勧めた。味が分からないのではなく,他人が作ったものは食べるのに,自分の手で作ったものを食べないのだ,と。そして,煮転がしの話を持ち出した。
静が応じる。
「‥誰が作ったか分かんねぇ味だった 作ったやつの何の性質(たち)も癖も感じなかった」「気持ちもな」
調味料とか全部規定量だったからとの説明には,決めつけるように返す。
「無意識に甘いもんが好きなら砂糖が多くなったり醤油が多くなったり 柔らかいほうが好きなら煮込む時間が長くなったりするもんだ」「寒い所に住んでたか暑い所に住んでたか それだけでも同じもんを作っても同じにはならねぇ」
おまえの味もだということばに,モコナがつけ加える。
「駆(カラダ)が覚えてる」
「覚えてなくても‥‥ おれの中にちゃんと残ってる‥‥のかな」「おれの為に作ってくれたひとの気持ちが」
つぶやいた君尋は,一度受けたことだから続けたい,彼女に自分で作ったものを食べてほしい,と思いを話した。
それを聞き,「‥‥だったら」と引き取った静の次のことばは,もらいものの蓮根があるから「蓮根の挟み揚げ作れ」
ずっこける君尋。それにも頓着せず「後,里芋」「それも何か作れ」
モコナもそれは大好きらしい。
 
「全部台所か!?」「冷蔵庫の中適当に使うぞ!」おこりながらも君尋が出ていくと,静はモコナに言った。
「‥‥良かったのか おれの所で」「あのひとのほうが あいつの助けになるだろう」
モコナが答える。
「四月一日はまた進まなきゃならないからな」