トップページデータノート「XXXHOLiC」ストーリー紹介(コミック版)

第175話

  ヤングマガジン:2009年15号:2009.03.09.月.発売
 
きょうもまた,門の前に立つ君尋だったが,インターホンからは……。
「何度いらしても同じですから」
「おむすび 今日も作って来たんです ここ置いておきますから‥」
その呼びかけへの応答がないまま,君尋は,紙袋を門の取っ手にかけた。
「帰るか」
後ろのほうから見ていた静に声をかけ,歩きだす。
 
静が話しかけた。
「いつまで続けるんだ」
「あのひとがおれが作ったものを食べてくれて で,自分で作ったものを食べてくれるまで」
いつまで経ってもそうならなかったらと問われても,そうなるまで続ける,できることをやる,君尋はそう話す。そして,留守番代わりに店で寝泊りしているが,2週間近く侑子にもモコナやマル・モロにも会っていないことも。
「ま,酒が減らなくていいけどな」
そうつけ加えて,君尋は静が肩からかけているスポーツバッグに目をやった。
「そういえばおまえ その荷物なんだ?」「どこか行く所あるなら‥‥」
「行く所はあるが」「どうせ行く先は一緒だからな」と静。
 
雨が降り出している。店の座敷では毎度のやりとりが始まった。
「って なんで,おまえまで店で寝泊りするんだよ!」と,君尋。
「酒,減ってねぇんだろ」は,静。
「誰がおまえに」「減らしてくれっつった!!!」
夕飯も日本酒もと言う静を残し,君尋は障子を乱暴にしめて出て行く。静は,かばんの中からタマゴを取り出し,手の平に置いてつぶやいた。
「‥‥これを使う時が」「近いって事なのか」
 
雨の学校。帰るしたくをしている君尋にひまわりが話しかけた。
「まだ会ってくれないの?」「‥‥でも行くんだね 今日も」「おむすび持って」
そして,リボンを結んだかわいい包みを差し出した。
「作ったの 料理はまだ自信ないからクッキーだけど良かったら食べて」
「ひまわりちゃんが?」
驚く君尋。
「有り難う!」
「大丈夫 きっと届くよ 四月一日君の気持ち」
ひまわりの笑顔に,君尋は,「うん」とうなずいた。