トップページデータノート「XXXHOLiC」ストーリー紹介(コミック版)

戻 第3回

《xxxHOLiC・戻》第3回
  ヤングマガジン:2013年17号:2013.03.25.月.発売
 
「なに?」
女性の問いかけに,君尋はつまってしまう。
「そ,それ」「見た事あるなって」
たしかに,あの客のと同じ人形のストラップ。
「どこで?」
「ここよ」
代わって答えた侑子が,同じものを持った子が来たと話す。
「それって,私より年上っぽくて 髪がこれくらいのストレートで」「大人しそうな」
「そう だったわね」
相手は,元気そうだったかと聞く。同じ会社なのだが最近ぐあいが悪そうで,と気になるようす。そして,ふたたびストラップに目をやった君尋は,前の客のと同様ネコのほうがよごれているのに気がついた。
侑子は話を続けている。
「同じストラップを つけてるなんて」「仲,良いの」
かぶせて,
「親友です」
はっきり答えた女性は,立ち上がって片手をテーブルにつき,身をのりだしていた。またも,そぐわない感じを受ける君尋だった。
 
「あのひとも 飲まずに帰っちゃいましたね」
ティーカップを片づけようとする君尋に,侑子は,お茶を飲みながら,ストラップを二度見したときの顔つきの理由を尋ねた。
「前来たひとのも さっきのひとのも 片方だけが」「…汚れてた」
 
「片方だけなの?」
「うん」
学校では,きょうも3人でシートを広げてお昼。ひまわりの問いに君尋が答える。
「使ってたら汚れるだろう」
言いながら,静がコップをつき出し,君尋はそれをひったくって魔法瓶の中身を注ぐ。
「そりゃ,そうだけど!」「同じ材質で殆どデザインも同じストラップが」「片方だけ汚れてるのって ヘンじゃないか」
「それも 持ち主が2人いて」「2人とも 同じほうなんて」
侑子はその点については触れなかったが,また来ると言った,と話す。
 
「ん」と,静がつき出した茶碗をひったくり,わめきつつもおかわりをよそう君尋はかっぽう着姿。侑子と3人,ちゃぶ台で食事中である。
「うちはテレビつける必要ないわねー 目の前で コントとか見放題だから」
そのことばと静の態度でムッと来た君尋は,頭の手ぬぐいもかっぽう着も取ってしまう。
「ん」とかまわず汁椀をつき出す静に,「さっき出せよ!」
笑みを浮かべて侑子。
「夫婦漫才もみほうだ」
君尋がかぶせて,言い立てる。
「ちがいま」
侑子がかぶせ返す。
「酒」
「飲むペースも 喰い気味だっつーの」
捨てぜりふを残し,銚子を持って出ていく君尋に,侑子の声。
「いよっ! 良妻賢母」
 
「客の事でしょ」
足音が遠ざかると,侑子がまじめな顔で静に言った。
「おれが繋いだひとですから」
「心配しないで」「この客は関係ないわ」
「まだ」「大丈夫よ」
 
庭でマルとモロに手伝わせて洗濯物を干していた君尋は,門の人影に気づいた。立っていたのは,先に来たほうの女性だった。
 
お茶を出しながら,女性の手と足を見る君尋。
テーブルに侑子と向かい合って腰かけた女性の,その右手とスカートから出ている下腿には,包帯が巻かれていた。