1923 《xxxHOLiC・籠》第194回:スト紹です

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■ 《xxxHOLiC・籠》第194回:スト紹です
黒鋼(ツバサ) [1923] 黒ジィ フレンドメール訂正Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; ja; rv:1.9.1.5) Gecko/20091102 Firefox/3.5.5 2009/12/23(Wen) 17:20
部屋の中,障子のそばで,君尋は三味線を爪弾いている。
てぃん
うなりはじめた。
「恋に焦がれて 鳴く蝉よりも」ててぃん
「啼かぬ蛍が 身を焦がす」てぃん
どどいつ〔都々逸〕だ。
ふと感じて,すわったまま障子をあける。
「達者になりやしたねぇ 御店主」
「月兎屋きせる」と書いた屋台を引いて,庭にウサギが立っていた。

「師匠が良いからな」と君尋
「その別嬪さんが夢枕に立って 手取り足取り教えてくれると申し出たんでやしょう」
ウサギは三味線を見て言う。
「但し,撥(ばち)は使わないで,な」
君尋のことばに,縁側に腰かけた相手は合点する。
「それで小唄ねぇ」
まださっきのともう1曲しか,と縁側に身を乗り出して言う君尋に,姐(ねえ)さん方口説くにゃ充分とウサギ。どこにいるんだと君尋が返す。

「そっちの別嬪さんのご機嫌はいかがなもんで」
タバコ盆の上で,煙が立ち上っていた。
ご機嫌斜めかもと聞きつつ受け取ったものを,ウサギはじっくりと見ている。
「なんど見せていただいても,惚れ惚れする煙管(きせる)でさぁなぁ」「羅宇(らう)屋冥利に尽きやすぜ」
外の世界じゃもう羅宇屋はほとんどいないらしいから助かる,と君尋は話す。
羅宇は少し裂けていた。
「別嬪は優しく扱ってやらにゃあ 逃げられてもしりやせんぜ」
言われて,君尋は,大事にしていたが昼間にひっくり返って落としたことを説明する。
「また『白河夜船』ですね」
目の端で相手を見ながらぼそっと言うウサギ。ちょっと居心地悪そうな君尋の顔。
「夢を視るのも御店主の仕事の内なんでしょうが」
「過ぎると夜船からおりられなくなりますぜ」
「‥‥分かってるよ」
縁側の庭寄りまで出ていた君尋は,静かに答えた。

羅宇は取り替え,雁首(がんくび)と吸口(すいくち)をみがくことにして,仕事が始まった。
はずした吸口と雁首は,屋台にすえられた不可思議なしかけのガラスの筒に入れられ,魚のようなモノが群れて穴への出入りを繰り返している。
「何回見ても面白いなぁ その魚みたいなの」
「こいつらは ヤニが大好物ですから こうやって羅宇車の中にいりゃ 腹はいっぱいになる あっしは商いができる」
言いつつ,ウサギは羅宇用の竹管が並んだ箱を持って君尋に向き直り,色を聞く。
「‥‥‥紅(アカ)」
ウサギは,その1本を取り上げると,指を小刀に変えてしかるべき長さに断ち,雁首と吸口をねじこんだ。全体を見回し,布でみがいて一丁上がり。

君尋はさっそく吸ってみる。
「‥‥美味い」
「自分でも出来るだけ手入れはしてんだけど やっぱり こうはいかねぇなぁ」
「素人さんができるんなら あっしら玄人は商売あがったりで」

礼を言った君尋は,いつものようにずんだ餅は作ってあるが,羅宇も替えてもらったから足りないと,思案する。
「だったら 御店主 ちいっと我が儘をきいてくれやすかい」
と,ウサギ。
「なんだ?」
「『いらっしゃい』と言ってやってくだせぇな」
「来てるじゃねぇか」
「まぁ お代と思って」
「‥‥それでいいなら」
ひと呼吸おいて君尋は言った。
「『いらっしゃい』」

かっ
ハイヒールで地面を踏みしめソレは現れた。
「お招き」「ありがとう」
あの女郎蜘蛛が……。
□ Re: 《xxxHOLiC・籠》第194回:スト紹です
乾闥婆王(聖伝) [1923.1] 少尉 (6回)
昇級まで1回 ずんける リンクフレンドメール訂正Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.1; ja; rv:1.9.1.6) Gecko/20091201 Firefox/3.5.6 2009/12/24(Thu) 00:47
ずんけるです。
黒ジィさん、スト紹おつかれさまです。
小唄、都々逸っていうんですねぇ…と文章を打っていると、ATOK(日本語変換ソフト)はちゃんと知っていたみたいで…。あう。でも、羅宇は知らなかったようで…(ATOK)。やはり使われる頻度は少ないんですねぇ…。
煙管で煙草を吸う人も見た事がないですねぇ…。キセルをする人なら見た事がありますが(爆)

それはさておき。
ワタちん、すっかりと「籠」モードで、羅宇の色も侑子が使っていたのと同じ「紅」。
いつから、そんな侑子さんのおっかけモードに入ってしまったんでしょう…?
そして、それは彼的に解決する日が来るんでしょうか…??
□ Re: 《xxxHOLiC・籠》第194回:スト紹です
小狼(カードキャプターさくら) [1923.2] 少佐 (56回)
昇級まで4回 ちょこ フレンドメール訂正Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; InfoPath.1; .NET CLR 3.0.04506.30; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729) 2009/12/25(Fri) 10:21
スト紹介ありがとうございました。
ここでのまさかの女郎蜘蛛さん再登場でしたね。
やはり彼女はアヤカシの中でも四月一日の眼を食べてしまっただけに彼とのかかわり大なアヤカシだからでしょうね。どう展開するのか分かりませんが、兎は四月一日に災いを招くつもりで呼び込ませるつもりはないんじゃないかなっと希望をこめて見守ってます^^;

>いつから侑子さんの追っかけモードに?
うーん。彼にとっては侑子さんが全てだったんでしょうかねえ。親もいませんし;;
四月一日の侑子さんに対する気持ちは恋愛というのとはまた違うような感じがします…。母親を慕う子供のような…感じ?
>解決する日
店で夢の世界に入り浸っているのも良くない感じですし、店がいつかは消滅するんじゃないんでしょうか…それと気になるのは以前に侑子さんが言ってた「来るべき日のためにこの店を作った」というところです。その言葉はツバサでも言われていました。
侑子さんはきっと、店に四月一日がずっと閉じこもっているために願いをかなえる店を造ったわけではないと思うんです。
来るべき日が来たら、店も存在理由がなくなるのではと推測しているのですが、その日はいつ来て、何がおこるのでしょうか?

あと四月一日の親に関しては、彼、以前店の庭でW小狼とWサクラに会ったときに、駆け出して行ってましたが…あれが(写身のほうが)自分の親だと直感で分かったみたいな描写がありましたが・・・あの話はどうなったんですかね?
結局四月一日、どっから沸いて出たのかツバサを読んでも読者にははっきり分かるように描いていませんでしたね。
というかわざと読者には分からなくしてあるのかもしれません。伏線の回収が待たれます。
□ Re: 《xxxHOLiC・籠》第194回:スト紹です
黒鋼(ツバサ) [1923.3] 黒ジィ フレンドメール訂正Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; ja; rv:1.9.1.5) Gecko/20091102 Firefox/3.5.5 2009/12/26(Sat) 05:32
みなさん,お久しぶりです。
チャットは,ROMくらいはと思っていたのですが,こちらの事情でかいま見る時間もなかったぁ!

さて,今回も,分量が多い……。空気を伝えるのに,これ以上のスト紹短縮は難しい。
いろいろ書きたくなる内容なんですが,2点について。

まず第一は,異界の羅宇屋さん。
スト紹では,バッサリ刈り込んじゃいましたが,その職人かたぎやその手ぎわ,それとは対極的(?)な羅宇洗浄装置である羅宇車,それらの描かれかたが興味深いです。あ,「ラウ」は「ラオ」とも言います。

そして,君尋のひき語り。
どどいつ〔都々逸〕の三味線ひき語りをどう表現するか。迷いました。演者によって,「うたう」も「かたる」も「うなる」もありだと思います。自身が以前聞いた印象から,スト紹では「うなる」にしましたが,はたち前後で始めて間もない若造では,「語る」くらいがいいのかも。
都々逸と小唄(ここでは江戸小唄),ネットで調べてもいろいろわかると思いますが,乱暴に言ってしまえば,前者は歌のかたちのひとつ,後者は演じかたのかたちのひとつ,そんなところではないかな,と。前者のほうが成立は時代的に古いのですが,場合によって重なることも重ならないこともあると思います。

ずんけるさん
同じくATOK派です。ワープロは《一太郎》主体です。



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