以下は回答をいただいた後、筆者なりに各種のデータなどを元に解説した項目です。
まずは【駅編】から説明します。 質問2は、自動水洗のメリットです。必要最小限の水しか流さない自動水洗は、かなりの節水効果が期待できます。ここでの省力効果(水道料金節約)が、各便器/自動水洗ごとの金額なのか、それとも各駅単位での金額かはわかりませんが、どちらにしても想像以上に節水効果が大きく、早くて1年、遅くとも数年のうちに元が取れる計算になります。まさしく「環境に優しい」トイレといえるのではないでしょうか。 質問3で、金沢駅の清掃回数、及び経費についてのデータをいただきましたが、この数値は一般の公衆トイレの平均清掃回数が1.5回であることや、年間経費も高くても500万円程度であるというデータからすると、非常に丁寧に清掃されていることがわかります。これは称賛に値するといえましょう。 質問4・5は本文にある「国際化」の話と連動しています。トイレットペーパーを置くことは、人によって無駄な使い方をしたり、便器の中に入れて配水管を詰まらせるイタズラが考えられるために慎重にならざるを得ない項目といえましょう。
次に【列車内編】を説明します。 質問1は意外と知られていないトイレの仕組みのお話です。 まず、垂れ流しが問題となるのは、衛生面(伝染病発生の原因)の心配と土壌から地下水に浸透・汚染する可能性があるからです。もちろん、人家が密集する現在では、布団を干していたら飛沫を受けたとか、最悪な場合は踏切待ちのときに顔に滴が当たるという事態になります。 カセット式の処理方式をさらに補足するべく、わが金沢大学土木建設工学科のマドンナ・池本良子助教授の解釈をここに記すと、 「カセット式タンクで焼却した後の汚水処理は、消毒剤を塩素という非常に強い酸化剤と仮定すると、まず、尿中のアンモニアを消毒剤で酸化・殺菌して硝酸に変化させます。この際に、反応せずに残った酸化剤(塩素)を無害化するために、還元剤にて次亜塩素酸へと反応させます。こうして有機物濃度を下げて排出するものと思われます」 とのことです。 ちなみに、一般の下水処理の場合、活性汚泥法の例で記しますと、スクリーン(下水中のゴミや浮遊物を除去)→沈砂池(比重の大きいものを除去)→沈殿池(汚物を除去)という3段階のプロセスで汚泥を取り除き、その後汚水をばっきし、有機物を微生物処理した後さらに沈殿し、そのご消毒して放流するといったプロセスを経ています。汚泥(ヘドロや汚物など)は濃縮・調整・消化・脱水・焼却のプロセスを経て、最後は埋め立てされます。カセット処理=下水処理では無いことは理解しておきましょう。 質問6で、一回あたり流す水の量を問いましたが、下水管につながる一般トイレの場合、流す水の量は節水タイプで約8Lです。これは、汚物を幹線下水管まで運搬するための水力が含まれているものと思われますが、それでも列車内トイレでの水量の少なさは際だつものと思われます。とくに、真空式の0.3Lは、男性小用ですらきれいに流すための水量が1.0Lであることを考えれば、まさしく「驚異的」な数値といえましょう。 |