「卒業の日、校庭のはずれにある古い大きなの樹の下で女の子から告白して生まれたカップルは永遠に幸せになれる。」 でしたっけ?鉄道愛好会会報「X'press」で表紙イラストを描いている最中最名次郎氏が「なめんなー!」と叫んでちゃぶ台をひっくり返しそうな、「ときめきメモリアル」のラストシーン。 これに似たようなジンクスらしきものが旅先にもある。 礼文島。 北海道の稚内から船に乗ること二時間の最果ての地に、「愛とロマンの八時間コース」なるものがある。その所以(ゆえん)はどうも次のところからくるらしい。 「このハイキングコースは礼文島の西岸を約8時間かけて歩くんだけれど、途中岩場とかガケを登ったりもするので結構きついのだけれど、こういうところで同行の女の子と手と手を取りながら、次第に愛が芽生えるんだよ。特にさ、コースの終点は丁度夕日が見えるからさらに愛が深まるんだよな。 君も一度行ってみるといいよ。」 (X'press 96年冬号・ケンメリバクシンオー「ユースホステルの旅」より) 驚く事なかれ、実際にこれでゴールインしたカップルもいるそうな。 たとえば、ユースホステルが企画したイベントがあるとする。 多くの旅人はカメラを持っているから、記念にと思い写真を撮る。そして、一緒にいた人たちにも、後から写真を送ると言うことで住所を聞き出す。送るとお礼の手紙が送られてくる。ものぐさな、例えば筆者みたいなヤツは除くが。 その手紙のやりとりを元に、文通がはじまることが多々ある…らしい。 だが、趣味や共通の話題が合わないと、結構早くにとぎれてしまうだろうが。
旅はめぐり会いだ。 ユースホステルはその場を提供する一つの機関だと思えばいい。 集うのはまさしく十人十色で、自分が知らない世界を皆持っている。 そんな人たちと交流すること、そして自分自身に磨きをかけること、これこそが旅の醍醐(だいご)味だと思う。 たまには一人旅の女の子を拐かす(かどわかす)ことしか考えないバカもいるが…。 時には、巡り会った人と人生を通じての友人同士になるかもしれない。 時には、かつて出会った人との再会があるかもしれない。 そして時には、一目見たときから互いに惹きつけられ、しかも趣味も同じとわかり、遠距離恋愛の果てにコミケで一緒にサークル参加することになる、そんなしおらしい女の子と出会えるかもしれない。おそらく何千、何万分の一の確率であろうが…。 そんな偶然もまた、旅の楽しみの一つかもしれない。 見知らぬ土地を旅する。 いつか夢見た理想郷(ラピュータ)を追い求めて。 そして、自分が知らない世界を求めて。 だから旅はやめられない。 旅と共に人生を終えた、松尾芭蕉のように…。
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