奇人、シンガポールを旅する。
私が愛した羽丘芽美
(前編)
- 初出:金沢大学鉄道愛好会会報「X'press」

 シンガポール。

 なぜかある年の8月、「一身上の理由」ということでこの地を訪れることになった。

 シンガポールではガムを道路へ吐けば罰金、ということは広く知られているが、罰金が科せられるのはそれだけではない。信号無視、喫煙場所以外での喫煙、ポイ捨て、花を摘むことから鳥に餌をやること、立っションからいたずら一切に関して罰金が定められている。これらが描かれているTシャツはもはや、シンガポール土産の代表になってしまっている。ついでにいえば、横断歩道のない道を渡って交通事故に遭えば、それは歩行者の責任。厳しい。

 基本的に多国籍な国なのだが、中国人が多い。システムはかなり日本的だが、互いに英国に範を取った国同士だから納得できなくもない。右ハンドルだし、日本車も多い。しかしボルボとかメルセデスも多い。シンガポールは車にかかる税金が高く、市中に入る際は乗り入れ賦課税を科すので、一般庶民には到底手が出せない。ということで購入層が必然的にそういった層になってしまうのだろうか?
 日本との決定的な違いは運転手の質であろうか。ほとんどの運転手がアウトロー、交通法規なぞそっちのけである。ハザードランプをつけたまま路線バスが80Km/hで疾走する姿なぞ、日本じゃ到底考えられまい。それも一重に「他人を思いやる運転」ではなく「自己防御のための運転」が定着しているからかもしれない。

 さて、そんな狭い国土を結ぶ交通手段が地下鉄である。とはいえ、「地下鉄」と日本語で表現されているこのMRT(Mass Rapid Transit)だが、実際はほとんど高架橋上を走るために地下区間は少ない。ついでにいえば、ケーブルカーと称す乗り物も、あれは誰がどう見てもロープウェイ。

 そんなことはさておき。「鉄道愛好会な本」に掲載した記事だから、鉄道についても少し述べておこう。

  • 車両は4ドア・8両編成でロングシート、9人掛け。
    たぶん新幹線同様の25m車だろう。
  • 完全無人運転。GTOサイタリスタで、川崎重工製。
  • 6分間隔で運転され、地下区間ではホームドアがついている。
  • リサイクル可能なカードを用いたストアードフェアシステムが行われている。
  • 入場時間が記憶され、一定時間以内に目的地までたどり着かなければ罰金(またか)。
  • トイレは有料。
  • ホームに売店はない。
  • 車内での飲食は罰金。

 日本での弱点、長所が生かされている気がする。
 しかし、ホームとコンコースを結ぶエスカレーター。あれは速い。関西育ちの私がいうから尚更だが、あの速さが身に付けば、日本のエスカレーターでは体が満足しなくなる(って怪しい体になってるんぢゃない)。

 バスは英国流に2階建てバス。前乗り、後降りで、車内で先に目的地までの切符を買って乗る。非冷房と冷房付きのバスでは価格が異なり、冷房車は20セントプラス(1ドル70円〜80円)。バス、地下鉄ともに、初乗り60セント(だったと思う)。しかし、何とも耐えられないのは案内放送の少なさ。バスでは最初から最後まで案内なく、おかげで目的地よりもかなり手前で下りてしまい、異国の地をあてどもなくさまよい歩く羽目になった。MRTは駅に着く直前になって「ポン、Chinese Garden」てな放送である。しかし、乗換駅になると、乗り換え案内が英語、中国語、マレー語、タミール語の順で流れる。延々2分ぐらい続くのではなかろうか。もちろん根っからの日本人である私には何を言っているかは全くわからなかった。

 シンガポールは日本的な要素がかなりある。百貨店は「高島屋、伊勢丹、そごう、ヤオハン」だから尚更な気がする。シンガポールは所詮淡路島程度の大きさだから、人口密度も当然高くなる。加えて、日中はマレーシアからの出稼ぎ労働者もやってくる。住宅はマンション(10階建てぐらい)ばかりで、一軒家などブルジョアジー以外望むべくもない。一軒家の割合が10%以下であることからもそのことがわかるであろう。

 そのマンションの下、一階部分に、ホーカーズという商店街のようなものが並ぶ。
 地震の心配がないこの国では、柱は必要最小限の細さ・数であり、高層住宅でありながら空間を有効に活用できるのだ。
 そこに並ぶものは、まず屋台。シンガポール人はほとんどが共働きで、家に冷房がないから、家に帰ってまで料理をする気力はないらしい。
 そして、食料品店。セブンイレブンもある。セーラームーンのカードダスも売っていた。
 しかし、CD屋、本屋などがない。
 だから中心部まで出て、高島屋などなどへ向かう。するとあるんだな、Tower Record が。…ってこれじゃ日本と変わらんぢゃないか。

 本屋というと、紀伊国屋、そして、丸善。…しかし何で専門書のイメージが強い丸善なんだろう。
 本屋の売場の半分は日本書で、残り半分は英語の本。中国語の本はあまりない。漫画もほとんど見かけない。あってもほとんど日本語版。いったい、こはいかに。

コンテンツ


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 Let's Start Hostling!!
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私が愛した羽丘芽美
(前編)

 奇人、シンガポールを旅する。
 日本の代表文化?セーラームーン
 ああ、愛しの芽美ちゃんっ


私が愛した羽丘芽美
(後編)

 北の大地にしっぽの残像を求めて
 襟裳岬…北海道三大ガックリ名所!?
 道東へ…BGMは「約束はいらない」!?
 北へ、北へ…真の北海道、ここにあり!
 終わりよければ全てよし…だが!?


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