北の大地にしっぽの残像を求めて
私が愛した羽丘芽美
(後編)
- 初出:金沢大学鉄道愛好会会報「X'press」

 羽丘芽美。
 14歳。
 中2。
 「怪盗セイント・テール」の主人公である。

 私がこの作品にはまって、早くも1年近くが経とうとしている。何しろ、テレビ本放送が終わるかどうかの時にはまったもので、だからこんなに短いんだね。

 現在では、当時ほどの「狂気」を帯びたはまり方はしていないが、それでも、BGMは「怪盗セイント・テール BEST OF BEST」である。

 この物語は、そんな私が、まさに文字通り「狂って」いたときの、北海道旅行紀行文である。


 当初、2月下旬出発で計画を立てていたが、1月末に、通いのNifty-Serve「怪盗セイント・テール会議室」の閉鎖が2月28に決定したこともあり、結局3月1日出発ということにした。この時点でもはやダメ人間である。会議室最終日の2月28日は、旅行計画表の仕上げついでに、「会議室がなくなるそのときまでアクセスし続ける」という、誠に暇なことをやっていた記憶がある(*1)。もちろん、その日は徹夜である。
おかげさまで仙台行きの夜行バス、寝にくい椅子であろうが何であろうが、ただただ爆睡できた。

 夜行バスで仙台へ出て、ここからが旅のはじまりである。
 初日は、東北・花輪・奥羽・五能線経由で青森、そして夜行のフェリーで函館までである。
 青森までは順調である。途中、花輪線の一部区間がバス代行運転になっていようが、五能線の最終列車が、客がほとんどいないにも関わらず5両編成だろうが、そんなことはトラブルの数のうちにも入っていない。
 問題は、着いた先の青森である。

 吹雪いてる。
 まさに「地吹雪」。
 しかも、駅から港までの距離が長い。
 青函連絡船時代は、青森駅近くの岸壁から出航していたので苦はなかったのだろうが、今は東日本フェリー一社、港は駅から3Km先である。

 フェリーはだいたい貨物収入を当て込んでいるので、幹線道から港までの道が広ければ、少々距離があってもかまわないらしい。しかし、駅から歩くこちらとしてはたまったもんじゃない。暗がりの、交通量が少ないくせに無意味に広い道沿いを歩きながら、身も心もまさに「フローズン状態」。やっと港にたどり着いたときには、やはり体中「雪まみれ」であった。

 …といいながらも、「16歳のティアラ」(「怪盗セイント・テール」原作者・立川恵さんのデビュー作)を思いだした私は、内心妙な満足感を覚えていたのであった。明らかに「重症」である。

 この航路は3時間50分かかるが、現在、新造フェリー「ゆにこん」により、所要時間2時間で結ばれている。しかし、船内放送で演歌調に「♪ひがし〜にほん〜ふぇりぃ〜」と熱唱する、社歌とおぼしき歌は是非ともやめて欲しいところである。
 ちなみに、座席に付いてオーディオの「歌謡曲」チャンネルを選ぶと、この曲と「ゆにこん」のCMがエンドレスで流れてくる。ヘッドホンをつけて聞くと、あなたも目的地に入港したときには、すっかり「洗脳」されていること間違いなしであろう。

#この曲がCDで発売されている等の情報があればご一報を。(^^;) 

 その日一日を、ダンプカーがバックで爆(ばく)走する青函トンネル内で過ごしたあと、「快速ミッドナイト」で札幌へ。

 第一目的地は「夕張」である。

 夕張といえば、高校の修学旅行最終日、冷麺として昼食に出された「夕張メロンらーめん」。
 麺がオレンジ色である。
 しかも、麺が「のびる」という感触がない。実に妙な歯触りである。
 しかも、夕張メロンの味なぞ、毛ほどにしない。

 そんな夕張だが、炭坑が閉山になって寂れているのかといえば、そうでもない。確かに、車窓から何軒も廃屋を見たが、同じぐらい多くの新築マンションが建っているように見られたからだ。夕張駅前には、スキー場と、ホテルレースイリゾートが建っていた。
完全にリゾート駅と化している…ようだが、実はリゾート客は大半が駅とは無縁。車の方が便利だからねー…

 夕張探訪のあとは、一路襟裳へ。
長万部からの日高本線は、一両と言うこともあって、かなりの混雑であった。しばらくの間立席で、結局明らかにガラガラ、ということは、終点様似までなかった。

 日高線といえば、忘れてはならないことがある。
 かつて、私が所属する鉄道愛好会では、JR北陸氏(今は「JRレギオン」などと称している)や、I東氏といった、当サークルの「伝説の」会長が、避けて通らなかった(通れなかった、ではないのがミソ)こと、それは「日高三石駅(*2:駅名を分けて読みませう)」の整理券を取ることである。途中の静内で交代したという運転士に青春18きっぷを見せながら、おずおずと「すいません、この整理券をいただきたいのですが」というと、運転士は笑顔で「どーぞ。」と答えてくれた。ただ、その笑顔が、何か意味ありげであったことが気になったが。

コンテンツ


ゲテ物探して三千哩

 ゲテ物達の想ひ出
 知られざるJRの迷作達
 沖縄の「味」
 異郷の味わい…シンガポール
 番外編〜どこかヘンだぞ、このジュース〜


神風に吹かれて

 南大東島夢紀行
 絶海の中のだいとう
 ささやかな小舟のだいとう
 ふしぎの島のだいとう
 南だいとう共和国
 さらば、だいとう


瑠璃色の刻

 Let's Start Hostling!!
 Pretend Oneself
 The Memory of Hostels
 Break out !!
 Searching for LAPUTA , and...


私が愛した羽丘芽美
(前編)

 奇人、シンガポールを旅する。
 日本の代表文化?セーラームーン
 ああ、愛しの芽美ちゃんっ


私が愛した羽丘芽美
(後編)

 北の大地にしっぽの残像を求めて
 襟裳岬…北海道三大ガックリ名所!?
 道東へ…BGMは「約束はいらない」!?
 北へ、北へ…真の北海道、ここにあり!
 終わりよければ全てよし…だが!?


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