道東へ…BGMは「約束はいらない」!?
私が愛した羽丘芽美
(後編)
- 初出:金沢大学鉄道愛好会会報「X'press」

 翌日は、流氷を見るべく、一路道東へ。

 途中通った釧網本線は、釧路湿原や塘路湖、オホーツク海、そしてエゾシカやリスが車窓越しに見える、実に美しい路線である。夏場に訪ねられるのであれば、是非一駅ぐらいは歩いていただきたい。

 この日は、「X'press 96年冬号」で、大先輩であるケンメリバクシンオー氏が紹介されておられた(←ホントはそういう理由で選んだのではないのだが…ま、いっか)、清里イーハトーヴYHに宿泊。といっても、いきなり信州にワープしたわけじゃないっすよ。清里町というのがありまして、そこにあるYHなわけでやんす。
 きれいということで定評があり、また、流氷の季節もあってか、これまでのYHとはうって変わった宿泊客数である。

 このYHのウリは、気球に乗っけてくれる点らしい。ただし、一分300円。
 滞空時間が長引くにつれて、顔に受ける快い風と、懐に吹きすさぶコールドストリーム。
 根が「大阪商人」な私にはとうてい乗れる代物ではない。
 しかし、ビデオやアルバムを見せられるにつれて、「ああ、たかがχ分だけのために旅行を短縮してもいいかも知んない」…などと思ったかどうかは定かではない。
 アルバムに納められたジャガイモ畑に映った気球の影の写真を見て、私の隣に座っていた人がぼそっと一言。

「使徒だ。」

 …あんた、少しぐらい俗世を離れてみたらどうかね。
 もっとも、わかってしまった私が言えることではないが。

 翌日、泊まりあわせた信州大の女の子と旧型客車にトロッコ客車をつなげた「流氷ノロッコ号」に乗車。この車両、客車とトロッコ車両を連結したもので、外は氷点下七度の世界。トロッコ車両は窓などなく、肌を刺す冷気がそのままに感じられるという、なんとも気の利いた車両である(ホントか?)。
 最初はかなり浮かれていた二人であったが、斜里から離れるにつれ(…時間が経った割に距離が進まないのね…やはりノロいわ、これ。)、次第に震えが来る。口数が減る。ついでに青ざめてくる。隣の車両から毛布をふんだくってくるが、はじめは一枚だったのが、次々と枚数が増えてくる。それでもトロッコ車両から離れないのは、根性だけがなせるワザか。我ながら天晴れ。

 「ノロッコ号」と、件の女の子とは、途中駅の「北浜」でおさらば。…終点の網走まで送って行ってやれよ…。

 言い訳するわけじゃないが、それは、これから泊まる「岩尾別YH」に泊まるには、ここで折り返す列車に乗らねば、接続バス(一日3本!!)に間に合わないからだ。

 岩尾別とは、知床の「奥地」にある、これまた「北海道三バカYH」の一つである。別に「三バカYH詣で」がしたいわけではないが、「成り行き上」こうなってしまったのだから仕方がない。
 岩尾別YHに行くことにしたのは、ここで行われている「耐寒ツアー」に参加するためである。
 えりもの同宿者のお薦め。よくいうではないか。

「類は友を呼ぶ。」

…なんか違う…。

 耐寒ツアーとは、クロスカントリースキーで、知床の大自然を満喫しようという企画。

 初日は練習ついでに、岩尾別海岸に流氷を取りに行こうというものだったのだが…。トロッコ列車に乗ったときはあんなに晴れていたのに、何で?というくらいの悪状況。上は吹雪、下は先ほどまでの陽気でグジュグジュ。
 ああ、こけたくない。…と、クロスカントリー初心者がそんな願いをして叶うわけもなく…、YHに戻ってから入った風呂は、何とも温かかった。

 三バカYHと呼ばれるには資格(?)がいるらしく、とにかく「踊り」は基本事項らしい。かのえりもYHでも、年末年始は当たり前に寝ようと考えるものの方が「異常」らしい。

 この岩尾別YHは、夏季は「休業」らしいが、冬は「健在」である。
 …って訪れたのは三月、季節は春…のはずなんですけど…ね。

 きちんとありました、「歌」と「踊り」。

 ま、別にいいけど…と思うんですが、踊りの途中に、隣の人に「抱きつく」場面があるんですわ。やけど、その日の同宿者、12人全部「男」ですぜ、あんさん。むっちゃむさ苦しいやン、外は氷点下でも。その日の晩は、「いやーん」な感じであった。

 唯一の救いは、拾ってきた流氷で果実酒(YHの手作り)をロックにして飲めたことぐらいか。
 ちなみに、もう一つの三バカとは、言うまでもなく礼文島「桃岩荘」のことである。

 翌日は、ウトロにある「地の果て」とかいうホテルの露天風呂に入りに行こう、という企画。前日ゆるんだ雪は、夜に一気に固まって、すっかりアイスバーンとなっていた。この日も風が強い。またも体が冷えてしまう。

 目的地の露天風呂。
 寒い。
 風が湯温を奪っていく。
 冷えたからだがさらに冷えていく。
 湯冷め(??)した私は、その晩どうも風邪を引いたらしい。二晩続けて「いやーん」な状態だった。

 三日目。
 最終日のこの日は、「乙女の涙」という別名を持つフンベの滝へと向かう。
 しかし…今度はカメラを落として壊してしまう。
 調べた結果、レンズフィルターが割れただけとわかったのだが、この日は昼間っから「いやーん」な感じであった。

 岩尾別から、斜里へ。
 バス賃は高い!ということで、時を同じくしてYHを発つ同宿の人の車に便乗させてもらう。
 流れるBGMは田村直美の「ゆずれない願い」。
 続いて、吉成圭子の「明日への勇気」。
 このあとにかかった曲が中村あゆみの「キライになれない」(*4:これ、全部「魔法騎士レイアース」の曲です)と言い当てられたあなたはすでに、私たちの仲間です(^^;)。

 「類は友を呼ぶ」…なんて素敵な言葉なんだろう…。

コンテンツ


ゲテ物探して三千哩

 ゲテ物達の想ひ出
 知られざるJRの迷作達
 沖縄の「味」
 異郷の味わい…シンガポール
 番外編〜どこかヘンだぞ、このジュース〜


神風に吹かれて

 南大東島夢紀行
 絶海の中のだいとう
 ささやかな小舟のだいとう
 ふしぎの島のだいとう
 南だいとう共和国
 さらば、だいとう


瑠璃色の刻

 Let's Start Hostling!!
 Pretend Oneself
 The Memory of Hostels
 Break out !!
 Searching for LAPUTA , and...


私が愛した羽丘芽美
(前編)

 奇人、シンガポールを旅する。
 日本の代表文化?セーラームーン
 ああ、愛しの芽美ちゃんっ


私が愛した羽丘芽美
(後編)

 北の大地にしっぽの残像を求めて
 襟裳岬…北海道三大ガックリ名所!?
 道東へ…BGMは「約束はいらない」!?
 北へ、北へ…真の北海道、ここにあり!
 終わりよければ全てよし…だが!?


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